お知らせ

梅は三毒を断つと言われるほど「解毒」に効果があり、古くから民間薬として用いられています。

三毒とは「血毒」「水毒」そして「食の毒」を指します。

動物性タンパク質やお砂糖を摂取すると血液は酸性に傾き血液が汚れるわけですが、梅のアルカリ性が中和してくれる、つまりドロドロ血をサラサラにしてくれます。

また、腹痛・下痢・便秘といった胃腸障害や疲労回復以外に、鎮痛作用、肌荒れ、そして抗ウイルス作用、殺菌作用があります。

私の体験談ですが、往診中に胃腸の動きが悪く身体に倦怠感が酷くあった際、薬局ではなくスーパーに行き梅干を買って食べて治したというエピソードがあります。摂取後の効果は早いですね。

摂取方法で最も理想が「梅を焼いて食べる」方法です。

梅干しを焼くと梅干しの糖とクエン酸が化学反応を起こして「ムメフラール」が発生し、強力な血流改善効果があると言われています。

自然療法で鉄板が「梅醤(生)番茶」です。コップに梅の梅肉を入れて潰し、そこに2~3滴の醤油と生姜のしぼり汁を入れ、熱い番茶を注いで飲用します。風邪や胃腸障害、肩こり、冷え、不眠、不安等にお試しください。

これからの季節性の風邪予防や感染性胃腸炎対策にも◎ですよ。

小豆

古くは厄払いの食べ物とされ呪術的で特別な食べ物でした。

煮汁は「利尿・解毒」の効果から「水毒」の症状に用いられ、心臓、肝臓、腎臓を補います。

栄養素としてはサポニンやポリフェノール、食物繊維、鉄分やビタミンB群が豊富なので、抗酸化作用や造血作用があり女性に強い味方です。

然しながら小豆を煮るのは大変!今は「あずき茶」や「玄米あずき粥」という市販の商品があるので、私はこれらをおすすめしています。

お腹が冷える、便秘、毒素の排泄に◎

尚、私は掲載の商品を使っています。あずき茶はJA丹波氷上で販売されているあずき茶。

玄米あずき粥はアマゾンで購入できますよ。

血液の汚れと不妊症

【傷病の原因は血液の汚れと循環不全】

血液の汚れや流れが滞った状態のことを、東洋医学では「瘀血(おけつ)」と言います。

血液が全身の37兆個の細胞隅々にまで、酸素など人体の生理機能に欠かせまい物質を運んでいるため、瘀血は細胞に負担が掛かりることは容易に想像できると思います。

これは単に生理機能に悪影響があるだけではなく、傷病にも関わっています。

傷病とは例えば肩こりや腰痛など運動器に生じる痛みや痺れや、様々な疾病のことを指します。

不妊症においてもこの瘀血はリスク要因と考えられており、この改善が質の高い卵子を造り、授かりやすい身体になると考えられています。

きれいな血液を造って正常に循環する身体になれば必ず「自然治癒力」が働きます。

では、きれいな血液を造るにはどうすればよいか・・

それは小腸の環境改善です。

小腸は植物で言えば根っこです。根腐れを起こすと枯れてしまいます。それと同様人間は小腸の働きが悪いと病気になるのです。消化吸収・解毒作用・造血作用など全てが小腸の働きです。


【小腸内で発酵、腐敗するかが健康を左右】

栄養素は摂取量ではなく吸収される量で考えなければなりません。吸収されない分は腸内で腐敗または発酵します。腐敗すれば血液は汚れ、発酵すればきれいになります。発酵させるためには発酵しやすい食物を摂ることと、小腸の働き(腸内環境)をよくすることが大切です。世の中には様々な健康法がありますが、判断基準は、「発酵」するか「腐敗」するかという事です。

結論は、「発酵する物を食べ、腐敗する物をやめましょう」血液を変えない限り、身体は変わりません。小腸が変われば血液が変わります。

【小腸内を健全に保つには】

食生活の改善が一番大切です。穀物・発酵食品・ミネラルや葉緑素のが大切です。世の中には様々な健康法がありますが、判断基準は、「発酵」するか「腐敗」するかです。繊維やミネラルの多い野菜・海草などは善玉菌(乳酸桿菌など)のエサになります。善玉菌の嫌うもの=悪玉菌(ウエルシュ菌など)により腐敗するものは動物性タンパク質や酸化した脂質、そしてお砂糖やグルテンです。

そして最も嫌うものは食品添加物・農薬・医薬品などの化学物質です。化学物質によるダメージは食生活を改善してもなかなか元には戻りません。

【発酵しやすい食べ物】…主食(ご飯、穀物)、発酵食品、繊維とミネラルの多い野菜や海藻類

【腐敗しやすい食べ物】…動物性食品やタンパク質の過剰摂取(肉、魚、乳製品など)

【酸化しやすい食べ物】…高温で調理した脂質の過剰摂取(炒め物、揚げ物、焼肉など)

妊活と腸活は切れない関係性があります。不妊症でお悩みに方はこの点についても詳しくご説明いたしますので、お気軽にご相談下さい。

冷え性と低体温

現在、日本人の多くは低体温化が進み特に女性で冷え等でお悩みの方が目立ちます。その理由としては、女性は男性に比べて骨格筋が少ない事や月経リズム、ホルモンバランスの影響等がありますが、現代人の場合は、不摂生な食生活からくる極度な貧血や、身体を冷やしやすい服装、職場等での空調環境、運動不足など生活習慣要因を伴っているようです。

身体が冷えるとどの様な生体反応があるかというと、自律神経(交感神経)の働きによって血管が収縮して血流が減少し熱の放散を防ぎ、同じく立毛筋が働くことによって体毛が周りの空気を断熱材代わりにして毛が立ちます。鳥肌と言えばわかり易いと思います。人体は無意識に身体を保温するための防御反応を起こすわけです。

低体温の症状だと常にこのような状態が持続しているようなものです。血液の循環が悪くなり、骨格筋からのエネルギー(ATP)の産生が低下するため、常に緊張状態で肩こりや腰痛などの痛みが起き易くなります。

血中に含まれる過剰な糖質や脂質なども通常は熱エネルギーにより燃やされるところが、血中にだぶついてしまい、肥満や糖尿病の原因にもなります。また、発汗機能も低下するため汗がかきにくく通常排出されるべき老廃物も排出さないため、肌荒れや疲れも表れやすくなります。

妊活においてATPの産生低下は、妊娠率や卵子の質にも影響すると考えられており、血中の糖質がだぶつくことは糖化を招きます。

がん細胞は熱に弱く、低温を好む事をご存知でしょうか?がん細胞は特に35.5度以下の環境が活性化しやすいようです。現在のがんの三大治療法は、①外科治療②放射線治療③薬物療法です。他に免疫療法や温熱療法などあり、その中に欧米ではすでに行われているのですが、がんの熱に弱い性質を利用した温熱免疫療法と言う治療法があります。それは、HSP(ヒートショックプロテイン)の働きを利用したものです。

人間にはHSP(ヒートショックプロテイン)と言う、熱(ヒートショック)に対して反応するタンパク質を持っています。細胞は、43℃以上の熱が加わるとタンパク質が壊れてしまいますが、42℃までの熱が加わると先ほど述べたHSPの生成が誘導され、自己と非自己(がん細胞)の識別能力が高まると同時に免疫力が向上します。この治療法は簡単に言うと自分の免疫力を活性化し自分の治癒力で治すものです。

身体を温める温熱免疫療法のひとつに、昔から民間療法でなじみのある湯治があります。湯治は、実際に、一日に2度、3度休憩を挟みながら温泉に入りますが、温泉成分が生体に特有な反応を与えている他、このHSPを活性化している事も考えられます。

それでは、何回も行なえばそれだけ効果が得られるのでしょうか?残念ながらそうではありません。HSPの活性化は1日目、2日目は活性化していくのですが、4日目をピークにその後は効果が減退していくようなのです。過ぎたるは・・・と言うことわざがありますがまさにその通りのようです。1日に休憩を挟みながら2度、3度入る事を2、3日間行なった後、1、2日間を空けてまた行なうと言うのが理論上では効果が持続すると言う事になります。

これは、湯治に関してなので縁がない人のほうが大多数でしょう。しかし、HSPは熱に対して活性化するタンパク質ですので、湯治に限らず身体を温めることによりその効果は期待できます。身体を温める事は、入浴など加温に限らず、陽性食品の摂取なども含まれます。

その他にも何か方法は無いのでしょうか?

実はHSPは熱だけに反応するのではなく、どんな侵害刺激(ストレス)でもつくられるので別名「ストレス・タンパク」とも呼ばれます。つまり、鍼灸や按摩、マッサージ、整体・・・などの代替医療や適度な運動や体操、寒風摩擦といった刺激でもHSPを活性化することができます。中でも特に熱がHSPを最も多く増加させることが出来るわけです。昔から民間で言われる、身体を冷やすことは病気を招き、温めると未病を防げると言うのもHSPで考えると納得のいく話です。

最後に、はじめに述べた現代人の低体温は生活習慣病のほか、女性は特に気になる美容やダイテット、妊活にも関与しています。HSPはがんなどの疾患に限らずこれらの症状にも効果が期待されているのです。

当院では、このHSPの作用を治療に取り入れており、鍼灸や整体以外に遠赤外線治療器「サンビーマー」を導入しています。

サンビーマーは、産婦人科学会で不妊症に有効性が示されています。遠赤外線はどれでも不妊症に効果があるわけでなく、5㎛~10㎛の周波数が効果があるとされ、このサンビーマーだけがこの周波数を出す遠赤外線治療器です。

炎症と消炎鎮痛剤

日常生活の中で擦り傷や切り傷、打ち身などは、比較的起こりやすい怪我です。そのとき、怪我をした患部が腫れたり(腫脹)(発赤)、痛みが発したり(疼痛)、熱を持ったり(発熱)機能障害を起こしたりします。これらの反応は炎症の5大反応と言われています。

これらの反応は、人体が外傷に対する防御反応(治癒反応)と言えるもので、生体自身が産生する「ケミカルメディエーター」(化学仲介物質)の作用により発生します。

サイトカインやヒスタミン、セロトンニンなど、なんとなく健康番組などで耳にした事がありませんか?例えばヒスタミンは花粉症などアレルギー症状に関与していると言われます。マスト細胞や好塩基球の顆粒中に蓄えられているのですが、これが皮膚の表層で働くと「かゆみ」として働き、深部で働くと「痛み」として感じたりします。花粉症の方は、鼻がムズムズしたりクシャミや鼻水大変です。これは、鼻の粘膜上で列記とした炎症反応を起こした結果起こる生体防御反応なのです。(アレルギーは免疫反応が過剰な状態です。ここではこのくらいの説明で。)

その他ケミカルメディエーターの例としては、損傷を受けた細胞内から「カリウムイオン」が、血液の成分で凝固作用のある血小板から「セロトニン」が、キニン類からは「ブラジキニン」・・・等が遊離し、結果、受容器を刺激していると言う訳です。

かゆみや痛み、いくら治癒反応と言っても何とかしたい所です。そこで一般的によく用いられているお薬が、消炎鎮痛剤です。これは、炎症反応で発生するプロスタグランジン(後から詳しく説明します)という仲介物質を抑制する働きがあり、結果痛みを抑えます。

現代薬の中で最も需要が多いのは、このプロスタグランジンの作用を抑制する「消炎鎮痛剤」と言われています。

何度も述べていますが痛みそのものは、体が症状を治そうとすることから起こる「治癒反応」です。つまり、消炎鎮痛剤で痛みそのものをとると言うことは、治癒反応の過程に水をさすようなものなので、我慢できる痛みであれば薬の使用を控えて様子を見たほうが良いでしょう。

しかし、痛みなど我慢の限界を超えそうなときは、薬を使用して痛みを和らげることは大切です。治癒反応の際、痛みを誘導するプロスタグランジンは、「シクロオキシゲナーゼ(COX)」と言う酵素(体内の化学反応を促進する物質)から作られます。

COXには「COX1」と「COX2」があって、この発痛増強物質が特に痛みに関与しています。(発痛物資にブラジキニン等がですが、これ自体が発する痛みは強いものではなく、プロスタグランジンによる増強作用が直接的に痛みに関与しています。)

それでは、この「COX」とはいったいどの様なものなのでしょうか?

(a) COX1は胃粘膜や腎臓などで胃粘膜を酸から保護したり、腎臓の血流量を維持したりする働をしてます。

(b) COX2は普段休眠状態で、怪我をしたときや炎症による刺激が加わったときに、局所に現れてプロスタグランジンを作ります。

これらCOXの作用を抑制する「消炎鎮痛剤はどの様なものがあるのでしょうか?一般的な物を説明します。

(1)「選択的COX1阻害剤」(アスピリン、ボルタレン、ロキソニン等の消炎鎮痛剤<NSAIDs>)

胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの産出を抑えて胃を荒らします。また、交感神経を刺激する作用が強いため、使用頻度が多くなるほど、交感神経緊張状態に拍車がかかり、血流が悪くなり顆粒球が増加して負担が増えます。消炎鎮痛剤を処方されたら、胃を保護する胃薬も一緒に処方されていると思います。消炎鎮痛剤は交感神経を亢進させて、血管運動性に影響を及ぼすためです。

(2)「選択的COX2阻害剤」(モービック、セレブレックス等の消炎鎮痛剤)

COX2の働きだけを抑えて局所の炎症反応を鎮める作用があります。COX1の働きは抑えないため、胃の粘膜を荒らしたり、交感神経の緊張を招かず副交感神経を優位にしたまま痛みをとる作用があります。

以上からみると、痛みを和らげる目的として現代薬が必要な場合は、選択的COX2阻害剤を短期間だけ用いることが賢明でしょう。

(現在ではCOX2阻害剤の副作用も問題視されています。)ここで言う事はあくまでも慢性的に使用する事ではなく、一時的な使用を言っています。)

最後に痛みの治療で大切なことは、痛みが無いときに(楽な時)行なうセルフケアについて述べます。

 これは様々な痛みに限らず、妊活においても非常に重要な考えですので参考にしてみて下さい。不妊症の原因の一つに体内で炎症が生じているという考えもあります。


1. 副交感神経を刺激し血流を改善する。つまり、リラックス。(体操、ストレッチ、爪もみ、半身浴など)

2. ストレスをためない事(前向きな気持ち)

3. 休息をきちんととる事(疲れは交感神経を刺激します)

4.*食事の改善(特に大切)

リノール酸系のお食事(特にお肉や油物などに多く含まれる)を多く召し上げっている方はリノレン酸系のお食事(穀物・緑黄色野菜・海草・青魚)に切り替える事をお勧めします。先にも述べましたが、リノール酸は体内に入るとアラキドン酸に変化して、さらにこのアラキドン酸はその後様々な過程を経て、発痛増強物質(今回のポイント)であるプロスタグランジンを産出するためです。これらのことをきちんと気をつけると、再発を予防できます。逆に言うと、これらの事をきちんと行わないと、いつまでも痛みからは離脱できない。と言う訳です。

 お薬は何だかとっつきにくいし勉強は嫌な方も多いと思いますが、正しい知識と健康増進の意識を持って、自分の身体を自分で管理する「セルフメディケーション」でいつまでも健康生活を送りましょう。

慢性頭痛

当院をご利用者の中で、かなりの割合で今回のテーマの頭痛でお悩みの方がいらっしゃいます。


頭痛は、脳血管疾患など急性のものを除けばほとんどが慢性型です。しかし、頭痛がするからといって安易にお薬に頼ったり闇雲にマッサージや整体などの施術を行うのは大変危険ですので少し頭痛についてお話したいと思います。

慢性頭痛は大きく2つに分類されます。

1.血管性頭痛
2.緊張性頭痛

さらに2の緊張性頭痛は筋収縮性頭痛と筋緊張性頭痛に分けられます。

血管性頭痛は、いわゆる片頭痛の事で、月に数回不定期に発症する発生する拍動性の頭痛です。これは、30代の女性に多い頭痛で、原因は、ホルモンのバランスと考えられています。月経前後はエストロゲンの分泌が低下する事で、神経伝達物質のセロトニンの分泌が減少します。セロトニンは、睡眠や覚醒など大切な働きをしており、これらの影響で血管が収縮・拡張し痛みが発生するのです。

筋緊張性頭痛は、精神的な因子、つまりストレスにより発生する頭痛です。ストレスの影響で、後頚部や頭部の筋肉が緊張し抹消神経系を圧迫したり、血流が悪くなることで発生します。これらのタイプでは、特に頚部に筋緊張が強く、トリガーポイントという*関連痛を誘発する筋硬結があります。それらを施術する事で頭痛が解消されます。

*関連痛:押さえると得気(ひびき)が発生し、押さえている所と別の場所に圧痛が生じます。

筋収縮性頭痛は、過度な労働や極端な動作により筋肉が強く収縮し抹消神経系や血管を圧迫する事により発生します。例えば事務職で、長時間猫背でPCモニターを見ていると、その姿勢によって頚部の筋肉が疲れ、頚椎から出る後頭神経を圧迫し、神経痛が発生します。これも、2と同じように筋肉を緩めて、神経の通良くすれば症状が楽になります。

これらの頭痛への施術は、タイプによりアプローチをかける場所が異なります。つまり施術法が異なるので、状態を診てから行う事がいいでしょう。頭痛でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

副腎疲労

現代社会で生活する私たちは、日々様々なストレスの影響を受けています。寒さや暑さなど気候の影響によるものや、文明社会のIT化によるテクノストレス、人間関係、将来の不安・・・などその要因は様々です。これら(ストレス)による影響は、私たち人体に備わっているホメオスターシスシステム(免疫系・内分泌系・自律神経系の相互作用)と言う恒常性維持機能により、常にバランスが整えられています。

人それぞれストレスの受け方は違い、常に前向きでくよくよしないポジティブな方と、「タイプA」と呼ばれる、何事にも完璧を好んですぐに悩みがちな方とでは、大きくストレス反応は異なります。

「タイプA」の特徴としては

1.短時間にできるだけ多くのことをやろうと精力的に活動する

2.競争心が強い

3.短気で敵意や攻撃性をもつ

4.自分への評価や承認・地位にこだわる

5.多方面の仕事に没頭していつも締切に追われている

6.せっかち

これとは対照的に、穏やかでゆったりした行動パターンを「タイプB」と呼びます。

現代ではストレスによる影響から心身共に不調を訴える方が多く、中でも心の風邪と呼ばれるうつ病は、現在日本人の10人に1人は症状を持っていると言われるほどです。その中でもこの症状にかかりやすいタイプをを先ほど述べた「タイプA」と呼ばれる性格の方なのです。

人体(生体)はストレスに遭遇すると、どの様な反応を起こすのでしょうか?私達は、危険な場面に直面した時など極度な緊張をすると、心臓はドキドキと拍動が高まり、目は大きく見開き、身体も危険に立ち向かうために無意識に身構えます。これは緊急反応と呼ばれ、先に述べたホメオスターシスシステムによるものです。

まず、自律神経系の交感神経の緊張が高まりその情報は副腎髄質と言う器官を刺激します。そこからアドレナリンと言う神経伝達物質が放出され、肝臓に蓄えているグリコーゲンを分解して全身の筋肉にブドウ糖を供給し、ストレスに対する準備を行ないます。さらに、脳下垂体前葉という所から、副腎皮質刺激ホルモンと言う神経伝達物質が放出され、その標的である副腎皮質が刺激を受け、糖質コルチコイド(ステロイド)を放出します。結果、血圧や心拍、血糖値は上昇し抵抗力が上昇します。心臓のドキドキするのはこのためなのです。

 
しかし、この糖質コルチコイドは、胃酸の分泌を促進し胃を保護しているムチンと言う粘液成分の分泌を抑制する働きもあるため、この反応が過剰になると、胃や十二指腸に潰瘍が出来てしまうのです。ストレスを強く感じると、胃がキリキリ痛む方もいらっしゃる事でしょうが、これはストレス反応によるものです。

これはストレスの3つの様相反応のひとつとされ、他にリンパ系や胸腺が萎縮して 免疫力が低下したり、副腎皮質が肥大します。これらの反応は、ある特定のストレスに対しては有効な抵抗を示すようになるのですが、人それぞれ持つ抵抗力にも限界があり、次第にストレスに適応反応を維持する事が出来なくなるのです。

人体がストレスに対して適応しきれなかった場合に現れるものが、心や身体に現れる「適応障害」と呼ばれるものです。これは、副腎皮質の疲労によるもので、アジソン病や、ある臓器に影響が起こることによる高血圧や腎臓病、リウマチ、虚血性心疾患、糖尿病(ストレスで高血糖になります)、うつ、倦怠感、痛み、痺れ、睡眠障害、胃腸障害などの慢性疾患などです。

※妊活においてもこのストレス反応による副腎疲労は妊娠率や卵子の質などに影響があると考えられています。 (交感神経優位は身体を緊張させ内分泌(ホルモン)やや循環、呼吸といった生理機能が低下します。)

免疫革命で有名な、安保先生の提唱されている「福田・安保理論」では、「交感神経緊張状態が病気の原因である」とし、身体がリラックスした状態の「副交感神経優位が、自然治癒力を高める」と言っているように、ストレスと治癒力との関係は密接なのです。

副腎疲労、自律神経の諸症状、適応障害でお悩みの方、お気軽にご相談ください。

もう大丈夫です。

食中毒

今回のお話の食中毒にも様々な種類があり、梅雨時に多いのが「細菌性食中毒」です。その他、冬季の11月~4月頃に学校や老人ホームなどでウイルス(ノロウイルスや腸アデノウイルスなど)が原因でウイルス性下痢症を集団発生する「非細菌性微生物食中毒」や、ふぐ毒のテトロドトキシンやキノコ毒のアマニタトキシンやノイリン等の中毒による「自然毒性食中毒」、食品添加物や農薬により起こる「化学物質性食中毒」があり、このように大きく分けて4つの食中毒があります。


①細菌性食中毒
②非細菌性微生物食中毒
③自然毒性食中毒
④化学物質性食中毒

*ここでは、①に挙げた細菌性食中毒について詳しく説明いたします。

細菌性食中毒は、「感染型」「毒素型」「アレルギー様食中毒」に区別されます。

感染型は、細菌が人体に進入して発病するもので、毒素型は細菌が増殖してその増殖時に発生する毒素により発病するものです。そのため、この場合は細菌自体の生死は直接原因には関与しません。

細菌性食中毒=①感染型 ②毒素型 ③アレルギー様食中毒


感染型食中毒には、「腸炎ビブリオ食中毒」「サルモネラ食中毒」「病原性大腸菌O-157食中毒」などがあります。腸炎ビブリオ食中毒は、日本でもっとも多い食中毒で汚染された海産魚介類(タコ・イカ・アジ・シラス等の近海産)を生食することによって起こります。菌は熱に弱い性質で60℃位の熱で死滅するので梅雨や夏場は出来るだけ生で食す事を避ける事が第一予防となります。もし、生で食す時は流水で洗う事をおすすめ致します。

それは、この細菌は3%前後の塩分を好むため病原性好塩菌とも呼ばれるのですが、この細菌の特性をりようして真水で水洗いをしっかり行なう事である程度殺菌が可能だからです。また、魚介類を調理した器具等をしっかり水洗いし、熱湯消毒を行なう事により二次感染を予防する事ができるため、この細菌の食中毒が多い夏場は行なう事がベターでしょう。

サルモネラ食中毒は、野生動物をはじめ鶏や豚などの家畜が保有する事が多く、これらのし尿により食品が直接・間接的に汚染された事により起こる場合が多いようです。食品に対する十分な加熱を行い、ハエやネズミなど感染源の駆除、新鮮な食品の利用などが重要となります。


また、鳥の腸内常在菌であるため生卵を食べるときは新鮮なものや検査済みのものに限り、それ以外は加熱する事が望ましいでしょう。

病原性大腸菌O157食中毒は、本来大腸菌は日和見菌であるため人体に有益な作用も行なう非病原性の細菌ですが、本菌の中にも病原性を持ち腸炎を引き起こす特殊な大腸菌がいるとして注目を浴びるようになりました。特に、抵抗力の弱い乳幼児や老人などに感染率が高く下痢症を引き起こします。成人には感染力が弱いのですが、菌が大量に増殖した食品を一度に摂取すると、急性胃腸炎を引き起こします。そのため、食品の低温保存や十分な加熱殺菌など食品管理が重要といえます。

それでは次に毒素型食中毒ですが、代表的なものに「ブドウ球菌食中毒」「ボツリヌス菌食中毒」があります。ブドウ球菌食中毒は、その原因菌のブドウ球菌が産生するエンテロトキシンと言う毒素が原因となります。ブドウ球菌は私達人体の体表や空気中、家中の家具などどこにでも生息していて食品に付着しやすいので感染の危険性が身近に潜んでいます。この毒素は、加熱処理しても毒性は破壊されないので注意が必要です。煮込み料理などをして長時間そのまま放置しておく事は、細菌の繁殖には好都合ですので、特に夏場などは調理後速やかに冷蔵保存を行なう事が予防法として推奨します。そして、不衛生な手指は直接的な感染源となりますので、手洗いや手に化膿巣のある方は調理などを行なわないことです。

ボツリヌス菌食中毒ですが、この菌は他の菌の毒素とは違い神経に作用し呼吸困難を引き起こすため、致命率が高く非常に危険です。その毒性は1gで100万人の命を殺めるほどで、あのサリンの何倍も毒性が高いと言われます。大変怖い菌ですが本菌の毒素は熱に非常に弱いので食品の摂取前に数分間煮沸する事で予防出来ます。

最後なりましたがアレルギー様食中毒は、顔面紅潮・頭痛・ジンマシン等アレルギー様症状が出る事が特徴です。サバやカツオ、サンマ、イワシなど魚の筋線維にあるヒスチジンが腐敗細菌により脱酸素作用を受けてヒスタミンなど有害なアミン類が産生される事により起こります。

食中毒で発生する諸症状は下痢・嘔吐・発熱・疼痛などですが、例えば下痢の場合は安易にお薬で下痢の症状をとめようとはしないで、下痢は治癒反応であるため出した方が良いとされます。この場合、脱水症状になる恐れがあるため適度な水分と塩分の摂取を行なうと良いでしょう。また、昆布茶や梅醤番茶などは胃腸を優しくいたわってくれるのでおすすめします。

鍼灸治療においては、裏内庭や解谿が解毒には有効とされています。


参考文献:衛生学・公衆衛生学(医師薬出版) 

生活習慣病

皆さんがご存じのメタボリックシンドロームですが、わかりやすく言うと、これは「代謝異常」の事です。これには基準値があり、内蔵脂肪蓄積量(ウエスト周囲経男性85cm以上、女性90cm以上)を基準とし

①血清脂肪蓄積量(中性脂肪値150mg/dl以上、HDLコレステロール値40mg/dl未満のいずれかもしくは両方)

②血圧高値(最高血圧130mmhg以上、最低血圧85mmhg以上のいずれかもしくは両方)

③高血糖(空腹時血糖値mg/dl以上)

これらの2項目以上にあてはまると危険信号というわけです。これらがどうしていけないのかというと、現在の死亡原因の上位を占めている「脳血管疾患や心疾患」に大きな影響を与えている「死の四重奏」に該当するからです。癌は大変怖い認識は誰しもが持っている事でしょうが、全体死亡原因の約1/3に相当する約100万が1年間にこれら「循環器系」の症状で亡くなっているのです。基準値及び①~③のいずれも生活習慣が原因で発症する項目で食生活や運動療法が改善の鍵を握ります。

ここでは、このメタボリックシンドロームに関してのポイントとなる「脂肪」について説明いたします。

私たちが日常、脂肪と言っているものは栄養素でいうと「脂質」を指します。脂質は、糖質・タンパク質に並ぶ三大栄養素のひとつで生命維持には欠かせない成分です。1gあたり約9kcalのエネルギーを出すのですが、糖質とタンパク質が1gあたり4kcalのエネルギーですので、脂質は倍以上の高いエネルギーを出す事になります。

脂質は、水には溶けない性質で主な成分は炭水化物と同様、「炭素・酸素・水素」で構成されています。細かくいうと、糖質とは酸素と水素が含まれる割合が違います。

脂肪は、①単純脂肪②複合脂肪③誘導脂肪の大きく3つに分類されます。食物中大部分は①の中性脂肪で、②はタンパク質と他の物質を含んでいる脂質を意味し、③は脂肪酸、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)やステロイドなどがあります。

その働きは、①の中性脂肪はエネルギー源として重要であり、主に貯蔵エネルギーとしての役割を持ちます。そして、②の一部は細胞膜の主成分となり、③はホルモンなどいずれも重要な役割があります。

皆さんもご存知の「コレステロール」は細胞膜の成分として重要な他、胆汁酸やステロイドホルモンの前駆物質となります。

血清中のコレステロール値は、食生活やストレス、性別や年齢によっても異なります。正常値は、150~220mg/dlで高脂血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、腎炎などでは高値となり、飢餓状態、甲状腺機能亢進症、重度肝障害などでは低値となります。

例えば閉経後の女性の場合、エストロゲンなど女性ホルモンの減少によりホルモンバランスが変化します。そのため人体は抵抗力をつけるためにコレステロールを貯えようと防御反応を起こし、その数値が上昇することがあります。そのため、コレステロール値が基準値以上だから不健康であると簡単には言えません。

ある研究の発表で、コレステロール値が基準値内の方と、少し高めの230dlの方とでは、がんの発病率が少し高めの方が低い数値を示したと言うのです。これは、コレステロールがステロイドホルモンの材料として働くため、免疫力が高いのではないかと考えられます。この事から、少しコレステロール値が高いからと言って安易にお薬で抑制する事は、少し考え物です。医師の指導の下、食事療法や運動療法を行い様子を見る事が懸命ではないでしょうか?

・・・さて、体内のコレステロールのうち、食べ物から摂取されたものは実は約3割に過ぎません。え!?っと疑問に思った方もいらっしゃると思います。認識としてはイカやタコ、貝類、イクラ、ウニなどはコレステロールが多く含まれる食品ですが、これらにはコレステロールを下げるアミノ酸やタウリンも多く含まれているので、相殺効果があります。コレステロールというと残りの7割は糖質や脂肪酸を材料に、主に肝臓で合成されています。そのため、コレステロールの少ない食事をしているから安心とは限らないのです。甘い物やお酒などでもコレステロール値は上昇しますので、これら嗜好品は取りすぎないように心がけましょう。

睡眠

睡眠にはレム睡眠ノンレム睡眠とがあります。

睡眠が始まると、筋の緊張は低下して心拍数や血圧も減少して、脳波ではゆるやかなシーター波やデルタ波がみられます。この時は、心も身体も眠っている状態で「ノンレム睡眠」といいます。

一方、睡眠中にはこのような状態が続くだけではなく、眼球がキョロキョロと動いたり顔や手足の筋に収縮が起きます。この時は、心拍数や脳波に変化が生じていて夢を見ている事が多いと考えられています。身体は眠っているけれども脳は覚醒時のような状態。これを、「レム睡眠」といいます。

成人では90分間隔で出現して一晩に4~5回起こっています。大体睡眠全体の20%はこのレム睡眠といわれますので、人間は人生の1/3は寝ていると考えると一生の7%前後は夢の中となります。

かなりの割合ではないでしょうか?
それが、新生児や乳児だと約50%がこのレム睡眠です。そのため3時間くらいで目覚めます。たまに寝ているのに急に泣き出したりする時がありますが、これは夢(レム睡眠)から覚めた事を表しています。

夜間だと、逆に表情に変化など見ることが少なくなりますので、熟睡している事がわかります。ですので、少しくらいの音が鳴ったり揺らしたりしても目覚めません。

「寝る子は育つ」といわれますが、ノンレム睡眠時には脳下垂体前葉から「成長ホルモン」が分泌されるからです。


赤ちゃんの頃はノンレム睡眠が大人よりも少ないのですが、成長と共にノンレム睡眠の割合は大人型に移行していきます。そのため、成長期に夜更かししたりする事はお勧めできません。

成人でも、人間は寝ているときに心身のケアをしているため早寝早起きの習慣がベストなのです。私たちが持つ自己治癒力は、夜の21時くらいから始まり2時くらいまでが最も高まっていると考える説があります。これを神経生理学で考えると、副交換神経優位となっていくためではないかと思います。、

世間ではアンチエイジングに関する情報番組やサプリメント等の商品を見かけるようになりました。健康に気をつけることは大変いいことですが、生活習慣を見直さないで健康を取り戻すことは難しいでしょう。今の状態は、過去の歩みを表しているのですから。何も始めなくては何も変わらないので、まず良い睡眠を取るために何か始めてはいかがでしょうか?

例えば、就寝前にアロマやお香をたいてリラックスしたり、ゆっくり半身浴をしたり、ストレッチや顔面や頭部マッサージをしたりなど色々あります。

鍼灸治療においては失眠というツボが不眠症に有効とされています。

臨床では不眠症など睡眠障害も多く診てきております。お気軽にお願いいたします。