■症例報告 (癌)頚部リンパ節転移術後後遺症■
60代女性。平成31年1月7日にOpe後、介入は1月20日より開始。症状は疼痛・顔面神経麻痺・上肢の挙上不全。
Ope患部の前頚部とそれ以外の鎖骨下に疼痛が顕著であり、疼痛で寝ることもできず、処方されている鎮痛剤の服用も効果がありません。顔面神経麻痺のため、唇の歪みといった容姿の変化だけでなく舌の運動機能不全があり、呂律が回りにくく咀嚼が上手くできないため食事にも支障があります。右上肢の麻痺は軽度でしたが上肢が重く目視で屈曲120度付近(対側の左は170度程度)で制限がありました。
■手法■
YNSA(山元式新頭針療法)、鍼灸治療、オステオパシー(クラニアル)
■診断■
YNSA
合谷診(右③)
上腕診(右頚)
首診(左心、目視で右肝、右腎)
四診
肝実、脾腎両虚
運動器検査
特にC1~3、Th7~9にストレインが顕著。右回旋し疼痛が発症している。側頭骨の内旋が顕著。
■鍼治療■
YNSA
A点(右)×1本(初診時は2本)
脳幹点×1本(初診時は2本)
顔面神経点(やや左の反応点)×1本
腎点(右)×1本
肝点(右)×1本(初診時は2本)
心点(左)×1本
F点(右)×1本
鍼灸治療
太衝(右)×1本+お灸
足三里(左)×1本+お灸
胸椎7番×1本
肝兪(右)×1本+お灸
脾兪(右)×1本+お灸
腎兪(右)×1本+お灸
※初診時は+後渓(右)
■置鍼後■
初診時はYNSA直後(置鍼したまま)に右上肢の屈曲角に左右差少なく改善し、唇の歪みや呂律の違和感が減りました。YNSAの置鍼のまま臥床してもらい鍼灸治療と抜鍼後にクラニアルを実施。鎮痛効果も高く疼痛が緩和が見られます。
■経過■
初診時は症状が顕著であったため2日後に再診を実施。その後は週1回のペースで継続中です。2月11日の時点で疼痛は残存していますが楽に過ごせるレベルまで回復し良く眠れるようになっています。顔面神経麻痺による影響は、口輪筋と舌の運動機能が向上し、食事行いやすくなった事と唇の歪みが少なくなり変化を感じられています。目視で周囲もあまり唇の歪みを気にならないレベルまで回復。引き続き加療は要しますが経過は良好です。