大腿骨頚部骨折と鍼灸師の役割

高齢者の患者様をみていますが、症例で多いのが「大腿骨頚部骨折」です。転倒により発症するケースが殆どですが、トランスファーの際に下肢固定で体幹を回旋するなど、捻る動作で発症することもあります。

私たち鍼灸師が患者様に介入するのは、オペが終わりリハビリを一定期間行って退院してからになります。「リハビリを一定期間」というのは病院の受け入れにより様々で、過去にはオペ後にリハビリなく同月に退院し介入することもありました。

今回お話をするのは、オペ後にリハビリを済ませて介入をしたケースです。

入院先ではオペ後早期にリハが開始され、荷重をかける訓練や免荷歩行を段階的に取り組んでおられたようです。入院中は皆様懸命に頑張られ、ADLを改善されてから退院、そして私たちが介入という流れです。

退院後は入院前よりもADLは落ちているのですが、それ以外に認知症の進行、食欲不振、オペ患部以外にも疼痛を発症、不眠や妄想、不安などを発症しているケースが殆どです。

そうですよね、とても強いストレスを受け運動機能面はリハビリで回復出来ていますが生理機能面はレベルが落ちています。そのお身体を触ると身体が悲鳴をあげているのが伝わります。これまでよく頑張りましたね、後は私に任せて下さい。と思います。

介入のご依頼では、退院後のADLの維持向上ですが、実はそれらには先程述べたような不定愁訴を改善し、その患者様らしい生活を取り戻す事がとても大切です。

生理機能あっての運動機能。その為、運動機能面=生理機能面であって、運動機能面≠生理機能面と、切り離して考えることはできません。

患者様の人生観を考え、人生に寄り添って心身の回復考えていく。それが鍼灸師の役割だと私は思います。

昨日の新患様も、この大腿骨頚部骨折後の腰部痛により歩行困難。

慢性的に疼痛を感じているため、恐らく脊髄にまで疼痛が記憶されていると思われます。トラウマ的な要素も含まれていると感じるので、経絡治療、アンワインディング、クラニアルも加え対応をいたします。

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