アルツハイマー型認知症の患者様を受け持っていまして、そのご主人はとても愛妻家でいつも患者様の事を気に掛けて施術中も様子を見ています。風邪を拗らして症状の変動があったのですがようやく落ち着いて来ました。施術後には今の状態をご主人に説明をしてから退出します。
ご主人はとても論理的な方で、専門職としての意見を言うと納得し、倍ほど年の離れた私を信頼して下さっています。いつも心配されていると先々がご不安でしょうから、そういうご家族様へのフォローも大切な事です。患者様がどういう状態であって、施術は何を目的にやっていて、どういう変化をしているか、そして今後はどうしなければならないのか、生活面では何に気を付けないといけないか、を説明しています。
患者様はとても痩せていて無動で全介助。身体は硬直し強い緊張が生じています。表情は険しく息もやりにくいご様子です。また嚥下や排痰も暫く機能低下により厳しい状況でしたが、顔色や応答も良くなってきて、嚥下も出来ているようでした。
私たちは痛かったら痛いと言えますし、不快であれば楽になるように動いたり出来ますよね⁉でもこの患者様は、自身の状況が分からないのです。苦しくて辛くいつも恐怖感がありそれも何なのか分からない。ご主人もそう思っているようでいつも辛そうな自分の妻を見ては優しく声を掛けています。
私は、患者様の状況から代弁者として痛いところに手を差し伸べ施術し、苦しい体勢をポジショニングで整え、呼吸を楽にし、身体の緊張を落ち着かせる。必要な機能訓練をしADLの維持に最善を尽くしています。
今日は腰をリリースすると呼吸や筋緊張が安定していました。腰が余程お辛かったんでしょうね。ご主人とそうお話をしながら施術していると穏やかな表情になり、声を掛けると笑顔で反応して下さりました。それを見たご主人も嬉しそうでした。
私たちにとっては何気ない1日かも知れませんが、患者様やそのご家族様にとってはそうではないでしょう。一回一回の介入で患者様の生活を変えられる事があります。私に出来ることは行いたい。
神戸線が人身事故で遅延し、ようやく午後の往診先に到着しました。この後も頑張ります。
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